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本間昭光・森元浩二対談インタビュー<後編> 

海外のような音は日本では出せない?音楽制作の環境づくりの苦労

前編では、本間さんがアドパワーを試された感想や、国によって音が異なること、そしてお二人が目指している低域の締まったスピード感のある音を出すための環境づくりの苦労など大変興味深いお話をお伺いする事ができました。後編では、人間の持つ数字では測れない感覚のこと、そして本間さんの考える人に感動を与える音の話など、お二人の更に深いお話が続いていきます。

本間 昭光

音楽プロデューサー/作曲/編曲/キーボード・ピアノ奏者/株式会社イソラブル代表。

ポルノグラフィティ・いきものがかりなど数多くのアーティスト楽曲提供やアレンジ、プロデュースを手掛ける。テレビ朝日「関ジャム完全燃SHOW」に出演するなど多方面で活躍。

公式サイト:https://akimitsuhomma.com/

森元 浩二

エイベックスエンターテイメントのチーフレコーディングエンジニアとして業界をリードする。日本レコーディングエンジニア協会副理事。

元来の車好きで車用アドパワーを購入。装着後の乗り心地の違いに驚き、「空気の流れが変わるのであれば音響にも効果があるかもしれない」という発想から、アドパワー社にコンタクトを取り、それがきっかけでアドパワーソニックの監修を担当する。

反響を抑えて、定位を安定させる

本間さん (以下、本間)
しかし、アドパワーの効果って不思議ですね。

森元さん(以下、森元)
静電気の抑制で空気の流れが良くなるというのは自動車での実験によりハッキリしているのですが。音響機器での効果の理由も分かってきています。ある大学の研究室で測定してもらっているのですが、まだ始まったばかりですが興味深い結果が出ています。
スピーカーにアドパワーを貼って無響室で測定するのですが、色々な測定方法の中の一つに空気の粒子速度を測る方法があって、その粒子の動きのスピードを測るとアドパワーを貼った時は変わる。何十回と測定してグラフにするのですが、貼っていない状態のグラフはバラツキがあるのですが、貼ると測定結果が安定化します。この実験はまだ途中なので今は表は出せませんが、結果が出るのが楽しみです。
また産総研(産業技術総合研究所)という国の機関で検証しているのですが、これも面白い結果が出ています。
まず一般的に初めに測る周波数特性に変化は見られなくて、なにかいい測定方法はないかと考えてくれたのが両耳間相互相関度IACC(※)という、両耳の届く音の違いを数値化するという測定方法で。これが大きいほど音像と定位感が明確になるということなのですが、このIACCには違いがあるのを発見しました。それも不思議なのが、無響室でやると両耳に届く音に違いはなくて、残響がちょっとある防音室や、音響処理のしていない部屋で測定と違いが出る。これは直接音ではなく反射の音の影響が変わっているんだと思います。これはイメージなのですが、アドパワーを貼ることにより音の直進力が上がり、反射の影響を受けにくくなっているということだと思います。

※IACC:右耳と左耳に入ってくる音響信号が異なるほど音の広がり感が大きくなる。その異なる程度を数学的に表したものを相互相関関数といい、室内音響の評価のために定義されたものがIACC。IACCの測定値が小さいほど広がり感が大きくなる。

本間)
そういうことなんですね。

本間)
アドパワーを貼ると、定位感は確かにすごいよくなってるんですよね。ちょっとでもズレてると本当に分かるようになってきた。それは前までなかったことなんですけど。「あれ、おかしいなあ」っていうのはすぐ気がつくようになって。データ上はイーブンで出てるはずなんだけど、何かおかしいなあと思って見ると、どっかがズレてたりしてて。ああ、ここがおかしかったって事があったり。

森元)
曖昧な部分が減って、分かりやすくなりますよね。モニターとしては正しい方向で、判断が早くなりますね。

本間)
そうそう。だから真ん中がしっかりする。何でもそうなんですけど、センターをしっかり感じられるシステムっていうのが、やっぱりいいんですよね、僕らは。そこがおっしゃる通り、アドパワーが反響を制御しているのかもしれない。

森元)
そうですね。部屋の影響を受けにくくなるので、実はしっかりと音響処理できたスタジオよりも、普通の部屋の方が効果を体感しやすいと思います。

人間の感覚っていうのは数字で測れるものではない

本間)
反響って絶対あるんで、どの部屋でも。無響室っていうのは気が変になる。気持ち悪いから。人間が生活する上で無音ってことはありませんし。今でも無音っぽいけど、やっぱり何かのノイズが絶対出てて。

森元)
反響もいっぱいあります。反響がないと喋ってる声も気持ち悪いので、それを調整している。歌や楽器を演奏して録音するための部屋(ブース)は、音源とマイクの位置と壁の関係で、どの反射があると、歌いやすい、いい音が録れるかなど、凄い考えられています。

中島)
このお部屋の形もその影響を考えて作られてるんですか?

森元)
そうですね、反射の前に部屋の持つ特性を考えています。音は波で、周波数によって波の長さ、波長が違うのですが、低域になるほど波長が長くなります。壁に当たった音が戻ってきたときに、もし山と谷が重なったときには音は無くなります。逆に山が重なった時は持ち上がります。その結果凸凹ができるのですが、それをなるべく無いように寸法を計算してあります。

本間)
だから、向かい合う面は平行なところがほぼないように作られてるんですよ。天井と床もそうだし、横も奥も。

中島)
だからこう天井や壁も段々みたいになってるんですね。

森元)
作るの大変なんですよ。90°っていう所がないんで大工さんは超大変です。余談ですが最近ではスタジオを作れる大工さんも減っていて、施工も思ったようなスケジュールで出来なくなって来ました。

本間)
ちょっとでもそれ(向かい合う面で平行な所)があると反響で嫌なところが出てきたりする。ただ、こういう大きなスタジオだとそういうことを計算できるんですけど、僕が個人で使ってるようなスタジオなんかは、機材がスピーカーのすぐ横にあったりして。

森元)
本間さんのところは音楽を創作して組み立てて行く場所で、ここは最後に仕上げる部屋なんで、ちょっと性格が違うんですよね。

本間)
音楽をつくる部屋だから、手の届くところにいろんなものを置いてしまうことによって、スピーカーの周辺が左右非対称になって、残響の影響がすごく出ちゃうんですよ。変な物に当たってぐしゃぐしゃになったりするようなものなんですけど。だから、アドパワーの効果はその残響を整理してくれてるっていう言葉が、もしかしたら一番正しいかも。

森元)
そうですね。変な言い方ですが、環境が悪いほうが有り難みが大きいです。

本間)
人間の感覚っていうのは、なかなか数字で測れないもので。明らかに違う感覚を持ったんですよね、少なくとも僕は。だからやっぱり絶対感じてるものはあって、それは数字じゃ表せないものなのかなって。
CDとスーパーオーディオCDとか、レコードとテープとか、いろいろ変えると当然、元は同じはずなのに全部変わって聞こえるじゃないですか?それはもうしょうがないと思うんですよね。同じCDでも、CDプレーヤーによって音が違うっていうんですか、「なんでやねん?!」みたいな感じですよ。

森元)
そうです、デジタル機器は電気的な周波数特性は素晴らしくいい。安価なものから超高価な物まで特性は一緒なんですよ。でも実際に感じる音は全然違うんですよね。周波数特性というのは一瞬を切り出し測定したもので、時間経過による変化は測定できていない、単なる目安でしかないんですよね

本間)
少なくとも今のスピーカーの方が昔より性能はよくなってるはずなんですよ。PAだって全然違いますから。コンサートのスピーカーは20年前と今じゃ雲泥の差です。こういうスタジオのスピーカーでも、AIでコントロールできるようになってきています。でもそれだけでは調整できない部分、「聴感上の部分」っていう、人それぞれ聞こえ方が絶対違うと思うんですけど、そこの整理をする一つの手助けを、アドパワーがしている。それがうちのスタジオでは効果覿面だった。アドパワーが認知されていくことによって、その静電気がもたらす効果、そして響きに対する影響っていうのが数値化されていくと、もっとわかりやすくなるし、説得力が増していくんじゃないでしょうかね。

理論ではなく、自分の感覚が一番大事

本間)
僕らは理論とか全然わからないし、むしろ興味がないんですけど。でもやっぱり感覚的に変わったものはすぐ信用しちゃうんですよね。自分の感覚なんで、ああ変わった、聴きやすくなったと思ったらそれで大満足って感じですね。

森元)
私もです。音が良くなって楽しく作業ができて、結果いい音楽が出来上がればいいんです。

本間)
理論とか全然関係ないんで、自分は。僕はエンジニアじゃないんで、エンジニアリングに関することってほぼ無知なんですよね。だから感覚だけでやっているようなものですよ。

森元)
理論とか考えるのは、私の様にスタジオを作っている側で良くて、そこを使ってくれるアーティストさんや、プロデューサー、エンジニアが何も考えずに気持ちよく音楽制作をしてくれればいいなと。

本間)
音楽理論に乗っ取ってそこばっかり気にして組み上げられた音楽っていうのは自分にとってはあまり面白くないなって。自分の感覚っていうものを大切に。

森元)
長年スタジオに籠もって作業をして、正しい音が身に染み込んでる本間さんだから感覚に頼る事が出来るんだと思います。
今は制作費が減って、スタジオの使用は最低限に抑えられています。歌や生楽器を録音するときだけスタジオに入って、録り終わったら、テイク選びなど時間のかかる作業は持ち帰る事が多いので、スタジオでじっくり音を聴くこともなくなってしまいました。
本間さんはそんな最近の予算の掛けられない状況でも、しっかりと音と向き合おうと自分のスタジオを持っているのが素晴らしいですね。気合が違います!

本間)
いやいや、褒めていただきありがとうございます。(笑)皆さんご自宅でやることが多いから、音に特化した造りじゃない部屋が99%だと思うんですよ。あの手この手で吸音材を貼ったりして、頑張っていると思いますが。

森元)
先程から本間さんが環境良くないって言ってる本間さんのスタジオは専門施工業者が作ってくれたスタジオですからね。でも求めているものが高いから満足できない。真面目に部屋の音創りをしようと思うと、壁の反射を減らすわけですが、低域まで特性を良くしようと思うと、最低でも60cmぐらいの吸音層が必要で、壁にちょっと貼ったぐらいでは、高域の反射しか抑えられないんです。でもそんな事、我々商業スタジオでも中々出来なくて、色々と妥協をしています。

本間)
僕のスタジオも楽器を録音するのは前向きでちゃんとした音で聞けるセッティングなのですが、音楽制作する僕の作業部分は部屋に対して横に向いていたりしていて、環境としては全然ダメなんですよ。すぐ後ろにガラス面があったり、もう反射しまくりですよ。

森元)
それでも個人の家でクリエイトしている環境と比べれば、全然良い環境なんですけど、求めるものが高いので不満が出てしまうんですね。

本間)
反射っていうものをいかに減らすかみたいな感じで。物を置いた方が乱反射するんで、変に直接反射がなくなってくるんでいいかなと思って、いろいろ物を置いたりしてるんですけれど。でもそういう状況よりもご家庭でやってる方の方がきっと大変だと思うんです。どうしても90°の壁と、天井は平行だし、絨毯しいたところでやっぱり絶対響くんですよ。

森元)
先程説明しましたが、波長の長さの山と谷があって。例えば100Hzだと1波長340cm、壁に当たって山と谷が重なるのが1/4波長だから、それを吸音しようと思うと85cmの厚さの吸音材が必要なんですよ。だから壁に貼る様な5cmくらいの吸音材を貼ってもそんなに効果得られないんですよ。

本間)
そういった環境の方々には、ちょっとしたアイデアとしてアドパワーを。

森元)
反射が強い部屋は、アドパワーでスピーカーの音の粒子を速くして。

本間)
聴きやすくなりますよ。本当ね、いろんなこと試したんですよ。振動抑えるものとか色々やってはみたんですけど、明確に変化が出たのがアドパワー。それがいまや自然になってます。

森元)
そうなんです、変な効果でないから、気にならないんですよね。

本間)
ああ、貼ってあった。そう言えばって。

森元)
それが一番いいです。

空気の振動が人に感動を与えるんだと思う

本間)
家で制作をやる人って、今みんなヘッドホンでやるんですよね。ヘッドホンでやるとヘッドホン自体の音っていうのがあるので。そのキャラで音が出来あがっちゃうってことがあるんです。良し悪しがあって。やっぱり音楽は空気を通して感じてるところで作った方がいいんじゃないかなって思うんですよ。
ライブっていうものがいまだに人の心を動かすのは、やっぱりリアルに空気を震わせてそれを体感するからで。コンサートホールでクラシック聴くにしても野外フェスで音楽聴くにしても何にしても、空気の振動っていうものが人間に感動を与えるんだと思うから。
ヘッドホンが悪いっていうわけじゃないんだけど、空気を震わせた音でいろんなものを作ったほうがいいんじゃないかって、僕は思ってるんですよね。ただ、今大多数の方が聞いているのがスマホのスピーカー、もしくはBluetoothのイヤホンとか。それわかった上で、でも自分たちが作る上では、やっぱり空気の振動が人間に感動を与えるんじゃないかなって。アドパワーがそこを物差しとして、環境づくりの一役を買ってるっていうのがすごくありがたいですね。

森元)
静電気の抑制だけなんですけどね、これほどありがたいとは。

本間)
そうですね。まだまだ改善されないこともあると思いますし。作曲家や編曲家の方々はそれぞれにキャラクターがあるわけですけれども、使ってるソフトが同じであろうとも絶対同じ音楽というものは出来上がらないじゃないですか。
人間が生み出すものって、その環境を一つずつ整えていくっていうのをヘッドホンでやるのも良し、空気を震わせて作るのも良し。それぞれのやり方がありますが。一つずつケーブルを変えたり、向きを変えたり、スピーカースタンドを変えたり、スピーカー自体を変えたり。環境を整えるには色々ありますけど、ちょっとテープ貼ってみるのもいかがですか?(笑)

森元)
本当はみんなスピーカーでやって欲しいですね。

本間)
本当はね。

本間)
ヘッドホンでやってる人たちはしょうがなくやってるんですよね。音が出せないとか、あとは出てる音が気に入らないとかね。スピーカーでそのまま流して不満がある。だったらヘッドホンで良いっていう。
もしかしたらそこにアドパワー貼ると、良いって言ってくれるかもしれない。だから色んな人に聞いて欲しいな。

中島)
はい、もっと知名度を上げていけるように頑張ります!

森元)
余談ですけど、某スピーカーの輸入代理店の方の家に行って、アドパワーを貼ったんです。その方は、色々と環境を整えていて、これが最善だと。もうこれ以上ない!という事だったのですが、試しにアドパワーを貼ってみたら、これまで超えられなかった壁を超えていい音になって、驚かれていました。

本間)
僕のと同じスピーカーなんですよ。だから相性良かったんでしょうね。

森元)
これは最初から貼った方が良いんじゃないかって。(笑)

本間)
売る段階でね。(笑)

森元)
冗談で言ってましたけどね。それくらいみんなが認めてくれてるんですね。エンジニアの人も大体皆さん試しに貼ってみて、大体そのまま貼ったままにすると言ってくれています。で、実際仕事で使ってみてどうですか?と数日後に聞いたら、あれで良い仕事できたからそのまま貼ったままにしているって言ってくれて、いい仕事が出来て、いい音楽が作れたって、ほんと嬉しいですね。

中島)
すっごく嬉しいです!今後もお二人の様に音楽制作に関わる方々や、音楽を楽しむ皆様のお役に立てるように開発・改善に努めていきます!

~アドパワー装着の感想はもちろんのこと、土地によって録れる音の違い、音楽制作の環境作りのご苦労など、第一線でご活躍されているお二人ならではの興味深いお話をたくさんお伺いすることができました。大変充実した1時間になりました。お二人ともお忙しい中、素敵なお話と楽しい時間を本当にありがとうございました!~

インタビュー前編はこちらから